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 公開日時: 2010年06月25日 11時00分
もし僕らのことばがウィスキーであったなら(書籍)
村上ウイスキー
連載: ハングリーエンターテイメント
毎週金曜日にお届けする飲食に関するオススメの書籍やDVDなどのコンテンツをご紹介していきます。第28回目は書籍「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」です。
村上春樹という現代日本を代表する作家が、学生時代の終りから作家を初めて数作出す頃まで、今でいうカフェバーのようなジャズ喫茶(ジャズバー)を経営していたことは有名です。その頃のことが言葉多く語られることはないのかもしれませんが、村上文学には、ビールやウイスキーの描写が多く、80年代の世評を現してもいるバーに関する場面も非常に多い特徴があります。

そんな訳で、今回ご紹介するのは村上春樹著の紀行文「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」です。阪神大震災やオウム事件で揺れた90年代後半の日本において、村上春樹氏は、ルポタージュというかエッセイというか、小説以外の手法も多く取って来ていました。そんな中、シリアスな著作ではなく、単純かつ崇高な紀行文として出版された興味深い作品に位置づけられるのではないでしょうか。

今作は、村上夫妻(写真は陽子婦人による)が、「ウイスキー」をそのテーマに、スコットランドのアイラ島を訪れるというもの。日頃、カリフォルニアのカラッとした質感に東京の蒸し暑い質感を絡めて描くかのような村上氏による、スコットランドの湿りっ気のあるどんよりした世界観を描く、新鮮な感じが何とも言えず心地良かったりします。肩の力の抜けた、あっけらかんとした文章も逆に、ウイスキーと合わせ、崇高な余韻を残して行くようでもあります。

「ウイスキー」という非常に日常的かつ神聖な存在に関するなかなか面白い洞察が繰り広げられる興味深い書籍だと思います。「ウイスキー」を語るには、必ず読んでおいた方がよい1冊でしょう。

何せ、スコットランドの島にウイスキー見に行って来て、このタイトルはカッコ良過ぎですよね…良い意味で。

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